モンゴルから茨城へ ~OPEN UP DREAMS~
チメドドルジ オユウエルデム
(茨城県外国人材支援センター 主任)
「人は環境が変化しても適応し、前向きに進むことのできるものだと思います」
私は日本の国が安全で住みやすいと感じながら、今の生活に馴染んできました。
この地域を愛し、美しい自然に癒され、近所のおばあちゃんが畑で作った美味しい野菜を食べて、小学生の元気な挨拶にパワーをもらい、今が幸せだと感じています。
新型コロナウイルス感染拡大の影響により、母国(モンゴル)に3年以上帰っていませんでしたが今回、県内企業と共にモンゴル人材受け入れ促進のため、現地での企業説明会を目的としてモンゴルへ出張してきました。
この出張を通じて、県内企業の皆さんがモンゴルへの理解を一層高めていただき、モンゴル人の方にも茨城県と県内企業に関心と期待を寄せてもらえればと思います。
そして、このエッセイを通じて、沢山の茨城県の皆さんにモンゴルとモンゴル人を知ってもらう機会になることを願っています。
本県が協力覚書を締結した「新モンゴル学園」の視察
新モンゴル学園は日本の教育制度をモデルにした小中高一貫学校、日本式高専、工科大学を含めた私立学校です。
日本語を小学生から取り入れ、英語教育にも熱心に取り組んでいます。
小中高一貫学校の生徒は、日本の中学生と同じような制服を着用し、日本の学校と全く同じ机と椅子を使って学習しています。
生徒の日本語での挨拶を聞くと、ここまで日本の文化を取り入れているのかと誰もが驚かされます。
新モンゴル小中高一貫学校
小学生の授業様子
中学生
新モンゴル高専×茨城県企業との企業説明会の開催
新モンゴル高専は、日本の高専機構の支援によって設立した日本式高専です。
授業カリキュラムなどは日本の高専をモデルに設定され、日本への就職に向けて熱心に学ぶ学生が在籍しています。
学生からの参加企業への関心は高く、次々と質問があり、参加した県内企業も実りある説明会となりました。
機械工学、電子電気工学、情報通信工学、建築工学、化学工学、ITエンジニアを学び、卒業までに日本語能力検定N2レベルの日本語を習うカリキュラムになっています。
このような学習環境で学ぶモンゴルの若者が、茨城県の企業に就職することを目指してくれることは、大きな人材確保のチャンスにもなると感じました。
新モンゴル高専・新モンゴル工科大学
茨城県企業説明会inモンゴル
新モンゴル高専・見学時
茨城県企業説明会
株式会社「モン・シバサキ」による“人材還流”の視察
元技能実習生が帰国後に立ち上げた現地企業を視察し、ブリッジ人材として人材還流を実現しています。
従業員の5割が実習生経験者を採用し、日本で習得した技能や品質を保ち、事業拡張を続けています。
日本式総合商社「BRIDGE LLC」の視察
この会社は、モンゴルから日本への国費留学生1期生から3期性のメンバーが創立した会社です。
会社名もモンゴルと日本の架け橋になるという想いで、BRIDGEと名付けたそうです。
日本の企業理念、マネジメントを模範とした企業経営を続けています。
国際協力機構JICA、モンゴル日本人材開発センターとの共催イベント及び
日本からの帰国留学生と茨城県企業とのパネルディスカッション
日本帰国留学生会「JUGAMO」のメンバーや帰国留学生が多く参加され、日本への就労に関心を持つモンゴル若手人材の現状やキャリア、人材育成に向けた取り組みに向けた積極的な意見を交わしました。
パネルディスカッションでは、県内企業にもパネラーとして登壇をしていただき、中小企業やモノづくりについての思いを発信してもらうことで、茨城県は人材確保だけではなく、モンゴルの未来に役立つポテンシャルが豊富にあることを伝える機会になったと思います。
JICAxMOJCx茨城県の共催イベント
パネルディスカッション
今回の出張を通して、新たにモンゴル人材への魅力を感じました。
以前のウランバートル市と比べ若い人たちが増え、より賑やかな街、落ち着いて行動する人々、サービスや対応が速やかでスマートフォンやアプリでの支払い、情報システムが進んでいることに地方から上京してきたおばあちゃんのように驚きました。
モンゴル人材は進学率(大学進学率7割)、語学力(英語や日本語、ロシア語、韓国語、中国語)が高いと言われています。
マイナス40℃からプラス30℃までの激しい温度の差で生き、昔から家畜と育ち、身体や精神的にも強い、高い適応力の持つ国民だと思います。
モンゴル人材の魅力を茨城県で取り入れていくことで、両国の貢献(ブリッジ人材)につながることは間違いないと確信しました。
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メールでのお問い合わせはこちら- 2022年11月14日
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